「DEER」

味が無いという崇高な音

 

今回ご紹介しますのは、サウンドサスペンションプロデュース スピーカー 「DEER」です。

DEER

 

 

群雄割拠のハイエンドスピーカーの中で、なぜこのスピーカーが登場したのかを私なりにご説明します。

 

ご説明する内容は少々難しいかもしれません。例えば、パッシブネットワークというものやデジタルプロセッサーいう言葉をある程度ご理解していただいている方向けの内容となっております。

可能な限り専門用語を使わないようにしておりますが、読みにくさをお感じの場合は、「4、ツイーターとミッドバスが同一素材なのは稀有」・「5、ひとつの理想とされる「ペーパー」(紙)ベースの同一素材を採用」・「6、サウンドサスペンション板井敏美プロデュースの意味」をご覧いただけましたら幸いです。

 

「DEER」というスピーカー

1、パッシブネットワーク依存型スピーカーとデジタルプロセッサー対応スピーカー

2、デジタルプロセッサーを使用するからこそ、それ専用のスピーカーが理想

3、デジタルプロセッサー対応スピーカーは音色の統一が必須課題

4、ツイーターとミッドバスが同一素材なのは稀有

5、ひとつの理想とされる「ペーパー」(紙)ベースの同一素材を採用

6、サウンドサスペンション板井敏美プロデュースの意味

 

 

1、パッシブネットワーク依存型スピーカーとデジタルプロセッサー対応スピーカー

 

 

実は、スピーカーには2つのタイプがあります。一つはパッシブネットワーク依存型スピーカー、もう一つはパッシブネットワーク無しでも能力が発揮できるスピーカーです。

 

パッシブネットワーク依存型スピーカーとは、ツイーター・ミッドバスの2WAYスピーカーを構成するユニットがあった場合、最終的にスピーカーとしての音色の調整はパッシブネットワークで行うというもの。

 

逆にいうと、パッシブネットワークで音の調整をしているため、パッシブネットワークを使わずに使用すると本来の音とは異なった音になってしまうのです。

 

デジタルプロセッサー対応スピーカーとは、パッシブネットワーク無しのオーディオシステムで本領を発揮するものです。(パッシブネットワークがしている仕事は、デジタルプロセッサーが行う。)

 

ここでいうデジタルプロセッサー対応スピーカーというのは、「パッシブネットワーク無しでとりあえずデジタルプロセッサーで調整してもOK!」というような、「ま~いけたじゃん!」という低レベルの話ではなく、研究開発時点からパッシブネットワーク無しで本領を発揮できるように作られた、専用のスピーカーのことを言います。

 

2、デジタルプロセッサーを使用するからこそ、それ専用のスピーカーが理想

 

現存するスピーカーでは、デジタルプロセッサーありきで作られたスピーカーは、ダイヤトーンさんとパイオニアさんしかないのではないかと思います。

 

それは、カーオーディオといういわば独特の世界の中でデジタルプロセッサーを使いこなしているのは、日本国内こそ先進国であり、世界中でみればまだまだ少数派と思われるからです。デジタルプロセッサーを理解し、かつ車の中の環境を熟知していないと、デジタルプロセッサーに適した専用のスピーカーの必要性を感じることはありません。そういったことからもまだまだ世界ではデジタルプロセッサー専用のスピーカーの必要性は認知されていない状況ともいえます。

 

とにかく車の中という環境は、リスナーが動くことができません。運転席は左右どちらかに寄っていますし、車幅やガラスの傾き、天井の高さ室内の広さは変える事ができません。ホームオーディオやスタジオモニタースピーカーのように、完成されたスピーカーありきでオーディオを構成していくというのは車の環境からして、非常に困難というのが分かっています。

 

では、どうすればいいのか、発想の逆転です。リスナーが―動けないので、音の方に動いてもらう。なにやら怪しく聞こえますが、そんなことができるのがデジタルプロセッサーなのです。

 

デジタルプロセッサーのご説明のようになってしまいましたが、この部分をお伝えしないと、サウンドサスペンションプロデユーススピーカー「DEER」の本質がお伝えできないので、書かせてもらってます。

 

話は戻りますが、デジタルプロセッサーでオーディオを調整する場合、車の中の環境とリスナーのシートポジションにより、車種ごとにすべての調整内容が異なります。つまり、Aというスピーカーがあり、このスピーカーの調整はこの数値でOK!という事が成り立ちません。正確に言うと、Aというスピーカーでこの車のこの位置に取り付けた場合、このシートポジションではこの数値、というようにオーディオ調整は複雑化しますので、一台たりともオーディオ調整の数値が同じという事は絶対にありえません。デジタルプロセッサーで調整する場合、調整の数値はすべて異なるという事になります。

 

全て異なるという事は、カーオーディオのオーディオ調整においては、パッシブネットワークのように「ツイーターの仕事はこの数値」で「ミッドバスの仕事はこの数値」というように「固定化された数値」ではおおざっぱな音の環境しか再現できず、最適なオーディオ調整は出来ないという事になります。

 

カーオーディオで車に合わせた最適なオーディオ調整を行うためには、デジタルプロセッサーしかないという結論に至ります。

 

そこで、最初の話に戻りますが、パッシブネットワーク依存型のスピーカーの場合、音色の調整はパッシブネットワークで行います。

パッシブネットワークで様々な調整を行いますので、ツイーターの素材とミッドバスの素材が異なっても、またはサイズが異なっても、コンデンサーとコイルと抵抗で様々な組み合わせを用いて違和感なく音の最終調整仕上げができます。

 

3、デジタルプロセッサー対応スピーカーは音色の統一が必須課題

 

パッシブネットワーク依存型のスピーカーの場合、ツイーターやミッドバス単体が持つ癖や音色をパッシブネットワークで調整しています。パッシブネットワーク依存型のスピーカーからパッシブネットワークを外してしまうと、ツイーターやミッドバス単体が持つ癖や音色がそのまま出てくることになり、製作者が意図した音とは異なった音になってしまいます。デジタルプロセッサーを使用する場合は、パッシブネットワークを外すことになりますので、やはりスピーカー単体の癖や音色がそのまま出てきます

 ツイーター

イメージが湧くように鉄琴と木琴の音を例にあげてみますが、鉄琴は金属を使用しているので金属の音に、木琴は木を使用しているので木の音に、というように使われている素材が異なるので音色の違いが明確に出ます

 

その鉄琴と木琴をミックスし途中の音階まで木を使い、途中から金属を使用し音を聞いた場合どうなるでしょう。そうですね、誰が聞いてもわかるくらい音色が異なることは明確ですね。

 

この例は極端な内容ですが、同じことをスピーカーに当てはめるとどうでしょうか。ツイーターに金属の素材を使用すれば金属風の音に、ミッドバスにプラスチックの素材を使えばプラスチック風の音にというように、素材そのものの音が音色として現れます。

そもそもスピーカーは電気信号を粗密波として空気振動に変換し疑似的に再現しているだけなので、楽器と比べるというのはナンセンスとは思いますが、どうでしょうか。異なるスピーカーの素材は同素材の方が音色の違いは少なくなるのではないでしょうか。

 

パッシブネットワークで音色の調整ができない場合、ツイーターやミッドバスの振動板の素材の統一というのは非常に重要な要素となります。

 

知ってしまえば、「そりゃそうだ!」と思える内容ですが、実際にサイズの異なる製品で同素材で統一するとなると、技術的に非常に難しいというのが実状です。

 

4、ツイーターとミッドバスが同一素材なのは稀有

 

そして、この「DEER」というスピーカー。稀有な存在である、ツイーターとミッドバスが同一素材の振動板でできております。deerコーン

 

同一素材の難しさは、ツイーターとミッドバスというサイズの異なるものを制作した場合、スピードの一致や再生する音域に難しさが発生します。

 

サイズが異なれば、振動板の「重さ」が変わります。そうするとスピードの一致が難しくなり、使用する素材によっては、高音域の再生に困難をきたしたりします。

 

5、ひとつの理想とされる「ペーパー」(紙)ベースの同一素材を採用

 

スピーカーの振動板の素材に何を使用するのかというのは、長年のスピーカー製作のテーマです。

一つの理想とされてきたのは「ペーパーコーン」(紙)です。紙で作った振動板はいわゆる高級スピーカーと言われるものに多く採用されてきました。なぜ様々な素材があるのに「ペーパーコーン」なのかというと、「ペーパーコーン」で作られたスピーカーは、癖が少ないといわれてきました。癖が少ないという事はデジタルプロセッサーのようなデジタル機器で調整した場合、非常に優位に働きます。しかし、「ペーパーコーン」(紙)は扱いが難しいのも特徴の一つです。

 

特に車に搭載する場合、温度は上がりますし、なんといっても湿度が高い。取付場所によっては水もかかる。理想と現実が非常に乖離した素材でもあります。

 

ミッドバス「DEER」はスピーカーの理想とされる「ペーパーコーン」ベースでツイーターとミッドバスが構成され、車で使用するという環境的問題もクリアーされました。しかも超高域まで再生可能にし、かつデジタルプロセッサー専用に作り込まれております。


「DEER」はペーパーコーンの特徴である癖が少ないということが強みです。

 

「DEER」は「スピーカーとして最も難しい可もなく不可もなくを追求しています」

この言葉の裏の文脈は、「あなた好みにこのスピーカーの色を染めてください!」という事です。

 

「ケーブル一本で音が変わります」「オーディオシステム全体を楽しむ事ができます」

 

この状態こそ、オーディオ好きにはたまらないコンセプトです。スピーカー以外の音すら吟味することができるようになるのですから。

 

このコンセプトは、いまだかつてなかったのではないでしょうか。

 

一つの理想とされる癖の少ない紙ベースの振動板をツイーターとミッドバスに同一素材で採用し、かつ現代の音楽再生に不可欠な超高音域まで再生でき、さらに聴感上違和感なく再生できるスピーカーが完成したのです。一体そのポテンシャルはどこまで行くのでしょう。非常に楽しみです。

 

6、サウンドサスペンション板井敏美プロデュースの意味

 

ところで、先の文でなぜ「聴感上」という言葉を付け加えたのでしょうか。

 

ここに今回のスピーカーの一層の強みが隠されています。

 

さて、スピーカーを構成するツイーター・ミッドバスの振動板が同一素材で出来上がったとして、データ上超高域まで再生できたとして、そのスピーカーが「いい音が出るスピーカー」と言えるのでしょうか。

 

そうですね。スピーカーの音がいい音として成立するためには、その音を聞いた人間が「この音はいい!」と判定しなければ、いいスピーカーとは言えません。このスピーカーの音を判定する人は、デジタルプロセッサーというものを理解し、自宅やスタジオで鳴らすのではなく、「車で」鳴らすという特殊な環境を熟知している人でなければなりません。では、誰がこのスピーカーの音に合格を出したのでしょうか。

 

 

そこで、今回のスピーカーを語るうえで外すことができない、まさに音決めを行った人、それがサウンドサスペンション代表板井氏です。

 

板井氏というとかたっ苦しいので以後「板井さん」と表現させていただきますが、この板井さん何者なのでしょうか。実はカーオーディオ業界では知る人ぞ知る凄まじい実績の持ち主です。

 

まず、デジタルプロセッサーのメッカとも言えた、由緒あるパイオニアカーサウンドコンテストに出場すること合計7回。そのうち表彰台が7回

 

パイオニアカーサウンドコンテストとは、年に1回開催されていた「車で再生するオーディオの音日本一を決めるコンテスト」です。クラスは様々ありますが、板井さんが出場していたクラスは一番上のクラス、いわば無制限のクラスです。そのクラスは、全国から集まった「本気でいい音にしたい」音楽好きの車100台以上が参加する最も表彰台に上がるのが難しいクラスです。

このコンテストで音を審査するのは、オーディオの業界では著名な方ばかり。とりあえずで寄せ集められた審査員とはわけが違います。変な審査をすれば、先生の能力も疑われます。

パイオニアカーサウンドコンテスト2

 

板井さんはその激戦の中で、なんと7年間も表彰台に上がり続けたという、信じられない結果を残されました。出場された方はお分かりかと思いますが、あのコンテストで上位3位以内に入ることは至難の業です。(何せ全国大会ですので。)表彰台に上がることでさえも極めて難しいというのに、なんとその状況の中で7回も表彰台に上がり続けたのが板井さんです。

お気づきかとは思いますが、出場した全7回のパイオニアカーサウンドコンテストで表彰台から落ちたことがありません。その実績もありまして、各オーディオ業界から一目置かれる存在となったのが板井さんであります。

 

板井さんの特筆すべきはその情熱、創意・工夫・行動。納得いくまで試聴と変更。もう一つお伝えしたいのは、本来の音から逆算していくオーディオ構成力。つまり、本来この楽器はどう鳴るべきなのか、本来このヴォーカルはどういう声が正しいのかを研究しつくしたうえで音決めをする。

 

本来の音を探すというのは恐ろしいほどに時間と手間がかかります。

時には最高級オーディオで試聴し、生の演奏を聞きに行き、またある時は歌い手本人に会いに行く。そして実際に録音している録音エンジニアさんにも録音状態やエンジニアさん本人の録音の意図まで尋ねる。そういった音楽制作側まで含めた「正しい音」を全て認知したうえでカーオーディオに反映させていく。まさに逆算の思考で音造りを行っていくというのは、音楽のつくり手からして賞賛の方法ではないでしょうか。

そういった経緯の持ち主、板井さんがプロデュースしたスピーカーが、この度発売されたマルチスピーカーシステム「DEER」なのです。

 

「DEER」が完成するまでの道のりは、それはそれは頂上が見えないほどの遠い道のりです。

このスピーカー、「初めから車に搭載・デジタルプロセッサーで調整」という通常ではありえないスタート位置から音決めを行ってきました。

初めから車スタートなんていうスピーカーは聞いたことがありません。大方ホームスピーカーから転用し、「こんな感じ?!」という程度で完成するものなのですが、プロデュースは板井さんです。安易に想像できるのですが、製造元は困ったと思います。板井さんは「こんなもんかなー」という言葉を知らない方です。できることはすべてやりつくしますし、聴感上・車で(「車で」というのが重要)納得いく音になるまでは、GOサインなんて出ません。もちろん価格以下の音なんて論外です。実際に発売も幾度となく延期されました。これこそ「簡単には世に出ない」という証です。

 

車用のスピーカーの開発は極めて難しいと思います。なぜなら、かなりの割合でお店さんの腕に依存しなければならないからです。しかし、視点を変えればポテンシャルの高いいいスピーカーであれば、お店の能力を超えた音の再生も可能という事。昨今の限りないクオリティーの高いオーディオソフトも鳴らし切ってくれる。そんなスピーカーがこの「DEER」なのです。

 

レナードでは、「DEER」」を試聴できる環境をご用意しております。

ぜひご来店ください!

 

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カーオーディオ専門店レナード

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